編入と専攻科から大学院進学のどちらが良いのか
このブログでは、筆者の経験を基に、世間のほとんどの方が知らない"高専から東大へ進学するルート"について、情報を共有していきます。
今回は「高専からの編入」と「専攻科から大学院進学」のそれぞれのメリット・デメリットについて比較していきたいと思います。
それぞれの進学方法の違いについては、下記の記事をご参照ください!
「高専からの編入」について
メリット
・最高学府の教育を学部時代から受けることができる
編入の最大のメリットは大学の学部時代から日本最高学府の教育を受ける事ができる点です。
高専では学ぶことのできなかったような専門教科以外の講義ももちろん受講することができます。
・大学院に進学する為の情報を多く持てる
学部時代から東大に所属することで、大学院へ進学する際に自分に合った研究室を選ぶための情報を多く持つことができます。
また、大学院の入試試験は基本的に内部の教員が作成するため、学部時代に受けたテストに近い傾向の問題が出される為、試験対策が比較的しやすいというメリットがあります。
・身の周りの環境を変える事ができる
新たな環境に身を置くことで新たな人間関係を作ることができます。
当然ながら東京大学には優秀かつ個性的な学生が多く在学していますので、高専時代の友人とはまた違った友人を作ることができるのです。
デメリット
・1年留年してしまう
一般的な編入では大学3年次に編入できますが、東大の場合、大学2年次編入になってしまいます。
言い方を替えると、1年学年が落ちてしまうということです。
これは東大編入の最も大きなデメリットだと言えます。
しかしながら裏を返せば、最高学府の教育を1年多く受けることができるというメリットとして考えることもできるかと思います。
・専攻科のルートに比べてやや費用が多くかかる
以前投稿した記事に書かせていただきましたが、大学院を修了するまでにかかる費用を比較すると、編入した方が専攻科から進学するよりも約130万円多く学費を払う必要があります。
この違いは下記の二点の理由が考えられます。
・大学編入ルートでは、1年多く大学に通う必要がある(1学年落ちる為)
・国立大学の学費が高専専攻科よりも高い(編入:大学2~4年(3年間)、高専専攻科:1~2年(2年間))
それでも一般的なルートで東大に進学するよりもかなり低い費用で入れることに変わりはありません(上記の記事を参照、約1000万円の違いがあります)。
・難易度が高い
編入試験の合格倍率については過去の記事で説明いたしました。
専攻科からの大学院進学の合格率に比べ、編入試験の合格率は低くなっています。
(編入試験の合格率:26%、大学院入試試験の合格率54%(H28年度))
専攻科から大学院進学のメリット・デメリット
メリット
・3年間一貫した研究を行った上で進学できる
専攻科に残ると高専5年次(大学でいう2年次)プラス2年研究を行うことができます。
真面目に研究を行っていれば、学会で発表できる高いレベルの研究を行うことができます。
これは非常に大きいメリットで、一般的な大学では大体4年次になってから研究を始めるので、学部時代にレベルの高い研究を行うのはかなり厳しい一方、専攻科に進めば何度も学会で発表できるだけの研究を行うことができるのです。
・学費が安い
これは編入のデメリットで説明した通りです。
編入に比べて約130万円程安いという特徴があります。
・受験の難易度が相対的に低い
こちらも編入のデメリットで説明した通りです。
受験者に対する合格者数の割合は約54%と編入の合格率26%に比べ非常に高くなっています。
デメリット
・環境が変わらない
専攻科に進学すると同じ高専(環境)で7年間生活することになります。
学校内での人間関係はほとんど変化しないため、人間関係はかなり狭くなり、異なる価値観に出会う機会が極端に少なくなってしまいます。
・大学院に進学する際の情報が少ない
大学院の入学試験は、当然ながらその大学の教員が作るので、その大学の内部生は対策を取りやすいという傾向があります。
専攻科から大学院に進学しようとすると、その試験の内容はほとんどわからないので、まともな試験対策を行うことができません。
この対策としては、事前に研究室訪問を行い、そこで学生と友達になり、情報を共有してもらうという方法があります。
この大学院試験対策については、別に記事を作成する予定です。
まとめ
今回は編入と専攻科から大学院進学のどちらが良いのか、それぞれのメリットとデメリットについて説明してみました。
お気づきの通り、メリットとデメリットは表裏一体ですので、一概にどちらの進学方法が良いとは言えないというのが今回の結論です。
今回説明したメリット・デメリットを進学の際の参考にしていただければ幸いです。